2016年6月12日日曜日

壊れたATX電源を修理してみた。



**警告**
お約束ですが、電源を分解すると保証がなくなるばかりか、感電、発煙発火、最悪火災など人的被害が出る可能性があります。
ましてや、よく分からず修理しようとするなど無謀です。今時数千円も出せばまともな電源は買えます。
そんなものに命を掛けなくてもよいです。最近の電源は内部に直流400Vほど掛かっていたりします。
寝ている間や外出した時に火災になるかもしれません。感電して死ぬかもしれませんし、助かっても後遺症が残るかもしれません。
掲載内容については各自自己責任で各自が判断してください。内容の正確性は保証しませんのであしからず。

某所より、突然電源が入らなくなった電源をもらいました。
まずはサクッと分解してみます。
まず目に飛び込んできたのは、真っ黒になってヒビが入っているヒューズです。


ちょっと見づらいので、取り出してみます。


ヒビが入っています。相当激しく切れたようです。
この事から、何処かがショートして切れたと推測されます。
電源でショートするとなると、真っ先に浮かぶのがFETなどパワー系素子です。
その場合、大電流や発熱により、パッケージが弾け飛ぶとか、基板が変色もしくは黒焦げになります。
基板を見てみます。何故か予想に反し綺麗なものです。全体的にパターンが細かったり、それをカバーするためにリード線の切れ端を半田で盛っていたりしますが(汗


となると、ショートの線は違うのでしょうか?
確認のため、ACラインの抵抗を測ると、短絡状態です。
これで、1次側の何処かが短絡していることは分かりました。


こうなると、あとは地味な作業です。
ACライン上のめぼしい部品を一つずつ剥がしていき、ショートがなくなればその部品が破損しています。
まずは破損したヒューズを除去します。


取り出したら割れてしまいました。
中に木綿糸?が入っていました。
ヒューズの型番はT8AL250V。
250V 8Aの遅延型ですね。
うん?8A??

この電源はMAX300Wなんですが、基板上には6.3Aと書いてあったような・・・

一次側のXコン、Yコンなどは外見的にはクラックや焦げた跡は見られず。一応外してみたけど問題なし。
コモンモードチョークコイルも問題なし。
パターンが細いせいか、pbフリーの半田のはずがバスバス抜けます。今まで修理した電源の中でダントツに部品が外しやすいです。てかほんとpbフリー半田かこれ??

うーん。あとはブリッジダイオードか。ってお前が犯人か!!


さて、少し困りました。電源は過去いくつか修理した都合上、よく壊れるコンデンサは手持ちがあります。
ですが、ブリッジダイオードがショートモードで壊れるのは今回初です。なので、余剰部品の持ち合わせがありません。
しかも、こういう部品を売ってるジャンクショップはもう閉店してしまったしOrz
規格上は600V6Aですね。秋月だとこのあたりが使えそうかな?

っと広島では入手できそうにないので、ダイオード単品でブリッジを組みます。
幸いプリント基板では両方対応できるようになっていました。


買ってきたのはIN5406。600V3Aです。一つ105円もした。広島では部品が高い・・・
これをサクッと付けます。ブリッジダイオードはあまり発熱しないのですが、気持ち足を長くして放熱できるようにしておきました。


あとは割れたヒューズを交換。
広島で入手可能なヒューズの種類はなく、一般的なものしか入手できないので、普通の250V7Aをセット。(6.3Aなんて中途半端なものは入手できなかったので)
突入電流で飛ぶかな?まぁ大丈夫でしょう。
ついでに3.3Vラインのコンデンサが一つパンクしていたので交換。
10V2200uFで低ESRなものは手持ちがなかったので、6.3V3300uFに交換。
ただ、部品の配置が悪く、コンデンサを取り囲むように大きめの抵抗が2本も隣接しているので、ほかのコンデンサも多分ダメだろうなぁ。てかなんでこんな配置したし。
しかも各ラインコンデンサ2個だけとか。


さて、最初に故障診断し、予測した修理箇所について、対応できることはやりました。
ACラインのショートはなくなりました。あと基板上でリード線が長くてショートしそうな個所は直しておきます。
これは、ケースに再度組み入れるとき指やケースの端などを不意にぶつけてしまい、ショートすることを防ぐのと、こういうところに埃が詰まるとマズイためです。

今回は半田が足りそうなところはとりあえず見当たらなかったので、追い半田はいいでしょう。
まずは電源単品でテストしたいところですが、面倒なので(ぉぃ 毎度電源の被験者になってくれている、実験用ATOM君に頑張ってもらいます。
どうせしくじってもヒューズが飛ぶか煙が出るくらいでしょう。


いざ電源ON!
マザーのLEDがついたので、5VスタンバイはOK。
電源を入れると、PCが起動し、ファンが回りだしたので、動作は問題ないようです。
BIOSで電圧を見てみます。おおむね問題なさそう。


では、耐久テストといきます。
ダミーロードなんて一般家庭にはないので、ちょうど手元にあったUbuntu16.04をインストールしてみます。


異常発熱とか、変なにおいがしたり、漏電したり電圧が不安定になるなどもなく、問題なさそうです。
インストールしたUbuntuで負荷をかけるため、DVDを再生してみましたが、普通に見終わってしまった(笑)ので、無事修理できたようです。

以外にも、ファンの音が静かだったので、わが自宅サーバの五月蠅い小型電源と交換することにしました。
小型電源は230W、時代が違うとはいえここまで大きさに差があるとは・・・


なお、余談ですが、この電源で使用されている制御用ICは2005Zというものでした。
色々使われているようで、ググるとロシア辺りのサイトで回路図が見つかります。


何故制御用ICを調べたかというと、大抵安物電源は、制御用ICのリファレンス設計をベースに部品をいくつか省略(!)していることが多く、例えば、「本当にこのコンデンサの耐圧合ってる?」とか調べるときに役に立ちます。
あと修理するうえで参考になる回路図があると、大体の構造や部品の役割が把握できるので助かります。
まぁ無ければ頑張って書くしかないし、実物から回路図を書けないとそれはそれで困るんですが。


1 件のコメント:

  1. 足を長くして空気との接触面積を広げても放熱効果はあまり期待できないのでは? 逆に短くして熱を基盤側に逃がした方が良いと思います。

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